今日はDiego Comin and Marti Mestieri (2013) "If Technology Has Arrived Everywhere, Why Has Income Diverged?"のセミナーに出席。

世界各国の所得格差が生産性の格差に帰着することは、経済成長論ではよく知られた経験的事実。最大の謎は、

生産性の向上を生む新技術(=アイデア)は、どこで考案されても世界中の人々がすぐにアクセスできるはずなのに、なぜ世界中の生産性を向上させないのか?

という点にある。

理論モデルではこの点を説明する試みが既に様々な形でなされていて、代表的なものとしては、新技術を生産プロセスに体化させるには人的資本が不可欠であり、人的資本の蓄積スピードが国によって異なることにより所得格差が残る、とするものが挙げられる。

この論文は、いわばこうした現象を実証によって支えることを目論んだもの、と評価できる。すなわち、新技術と生産性の関係を、

1)新技術が発明された年以降、最初の実用化までの期間の長さ、と、

2)その新技術の使用がどの程度浸透しているかに分解し、

実用化までの期間の長さには各国間で収斂がみられるが、新技術の浸透度合いについては収斂がみられず、これが各国間の所得格差の8割方を説明する、という内容。

この実証研究が想定している理論モデルでは、所得の水準のみならず成長率にも収斂が保証されないので、現状を放置すれば所得格差はますます広がっていくことになるんだけど、それは正しい予見なのかどうなのか。

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