Ohar Raveh and Ariell Reshef (2013)の"Capital Imports Composition, Complementalities, and the Skill Premium in Developing Countries"のセミナーに行って来た。

国際経済学において、熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差の拡大が

1)貿易自由化によって引き起こされるものなのか、それとも
2)熟練労働の使用に偏った技術進歩によってもたらされるものなのか

は、2000年代初頭辺りの一大テーマとなっていた。

実証分析は貿易自由化の影響はさほど大きくないとするものが多いのだけれど、本論文は、資本財の多くを輸入に頼る発展途上国においては、輸入資本財の総量ではなく構成に着目すると、貿易の影響が大きいことが判明する、というもの。

この論文では、

・研究開発集約的な資本財は熟練労働と補完関係にあり
・研究開発集約的でない資本財は非熟練労働と補完関係にある

との仮定の下、研究開発集約的資本財+熟練労働と研究開発非集約的資本財+非熟練労働との代替の弾力性が1を超える限り、資本財輸入に占める研究開発集約的資本財の割合が高まるほど、賃金格差は広がるという関係を実証的に明らかにしている。

そして、

・研究開発集約的な資本財ほど関税率が高く設定されていることが多く、自由化による税率の限界的な変化幅が大きい傾向がある。

また

・研究開発集約的な資本財は概して小型(例えばコンピューター)、研究開発非集約的な資本財は概して大型(例えば輸送機械や生産設備)であり、前者の方が輸送費が小さく、自由化によって輸入量がより大きく増える可能性がある。

といったことを踏まえ、貿易自由化が現にこういった現象を引き起こすと議論している。

会場では推計式に使われている変数の内生性についての議論が多かったが、ロジックは面白いと思った。
スポット情報

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年7月  >>
293012345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829303112

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索